1979年のテレビ放送開始から33年。アニメ「機動戦士ガンダム」の「モビルスーツ(MS)」をデザインした
大河原邦男氏(64)がガンダムが長く愛される理由と、デザインの流儀を日経MJで語っている。
「アニメとしてのガンダムは、近未来のストーリーをリアルに設定することで視聴者の年齢層を引き上げた。
メカデザインでも同様に、大人が納得できるものを追求した。それまでのロボットは円柱や角柱のパーツを 組み立てただけ。私は筋肉の盛り上がりを付けて人らしくしたり、鉄砲を本物の兵器らしくしたりとリアリズム を盛り込んだ」
「どんな作品でも、悪役のメカへの思い入れが強い。正義の味方は『玩具等で商品化しやすいように』というスポンサーの意向など、いろいろな制約がつくから。ガンダムで一番好きなメカは、悪役であるジオン軍のザク。 30歳のときに1週間で書き上げた。富野由悠季監督からは目の部分だけ指示を受けたが、ほかは比較的自由にデザインできた。ジオンは第2次大戦中のドイツ軍をテーマに、主役のガンダムよりもミリタリズムあふれるデザインにしようと決めていた」
「デザインに際しては、現実にこのロボットを製造する場合、どういう工程で作るのか、を考える。自分で実際に木工、金工で模型を作ることもある。『装甲騎兵ボトムズ』に登場するメカをデザインしたときは、小さな人形を模型に乗せてみて、現実の縮尺に合うかや、ハッチの開き方などを研究した。すぐにCADに起こせるものをイメージしている」
「米アップルの製品のような、シンプルな機能美も重視している。ただ、人間は見たことがある物を目にすると、それだけで『リアルだ』と認識するもの。例えばザクの頭部や足に露出させたパイプは、敵に『ここを切ってください』 と弱点を見せているようなもので、構造上は不合理だ。だが自動車、掃除機といった機械には至るところにパイプが露出している。こうした、あえて不合理なデザインで、リアルさを訴求することもある」
「もともとアニメは全然好きではなかった。結婚を機にアパレル会社を辞め、妻の実家に近かったアニメ会社に
就職したのがきっかけ。最初の作品は科学忍者隊ガッチャマンの炎のようなロゴ。やがてメカのデザインも任されるようになった」
「機械はこどものころから大好きだった。蓄音機を分解して怒られたりもした。ネジとドリルが特に好き。あんな小さな部品でどれだけ世の中を変える製品が生まれたのかと思うと感慨深い。ホームセンターでは売っていない小さなネジをメーカーから何千本も買うこともある」
「掃除ロボットがはやれば、皆同じようなデザインで追随する。車にしても、似たデザインが相変わらず氾濫している。 新しいものに挑もうとする遊び心が足りないのではないか。遊び心があるからこそ、独創的なデザインが生まれるはずだ」
大河原氏が好きなメカ ベスト3
<ガンダム>
(1)ザク
(2)ハロ
(3)ムサイ
<ガンダム以外>
(1)AT(装甲騎兵ボトムズ)
(2)バイファム(銀河漂流バイファム)
(3)レイズナー(蒼き流星SPTレイズナー)
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